雛人形の歴史や現在の人形の特徴

最終更新日 2024年3月9日 by muta10

雛人形とは、3月3日のひな祭りを祝うときに飾られる人形で、女児のお祭りとされています。
歴史は古く、中国の上巳の節句が元でした。
平安時代には季節の節目に邪気払いとして水で体を洗ったり、人形を自分の代わりに川に流して厄を祓う「流し雛」が行われています。

昔の雛人形

当時の人形は奈良時代に誕生した、紙でできた人形(ひとがた)と呼ばれるものでした。
ただしそれ以前から藁や草で作られた人形で女児の身体を撫で、その子の穢れや厄を人形に移して厄祓いとするという行事があったという説があり、藁や草の代わりに人形(ひとがた)が使われるようになったと考えられています。
また、平安時代に宮中では女児が男女1対の小さな人形を用いてままごと遊びなどをしてきた歴史的な背景も、重要な影響を及ぼしていました。
人形遊びと呪術道具として使われていた人形とが融合し、次第に雛人形となってきたといいます。
実は3月3日に決まったのは流し雛よりもはるかに遅く、江戸時代に入ってからです。
江戸時代になって江戸幕府によって定められました。
それまでは3月の上旬とあいまいな決め方をしており、宮中で節句の時期に伝統的な節会をしていた経緯から、特定の日に定めたという説が一般的です。

江戸時代に雛遊びから雛祭りに変化

3月の桃の節句を祝う風習が市政に広まるようになると、雛遊びが一般化するようになりました。
雛遊びから雛祭りに変化し、江戸時代に幕府が定めたことによってさらに定着していきます。
この時に現代に近い人形だけではなく、この時代ならではの豪華絢爛な人形が多数誕生しました。
段飾りの人形が生まれたのは、元禄時代からです。
元禄以前では緋毛氈の上に男女の人形を並べていました。
しかし、人形や調度類に関心が移るようになると、徐々に豪華なものに変化していきます。
雛祭りの流行から段飾りになっていくようになり、18世紀中ごろには2段や3段飾りが主流となっていきました。
その後18世紀終盤に5段飾りなどの多段飾りが増えています。
幕末には現在でも時々見られる、7段や8段飾りの物も少なくありません。
初節句に雛人形を贈る風習が誕生したのも、江戸時代です。

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調度品にも贅を尽くす風潮が見られている

中期ごろから女子の初節句に人形を贈答することが盛んとなり、娘が他家に嫁ぐときにも持参して、嫁入り後の初節句に飾って節句を祝う風習も登場しています。
なお、この時代に人形だけではなく、調度品にも贅を尽くす風潮が見られているのも特徴の一つです。
なお、地域によって飾る風習も異なっており、東日本と西日本では飾り方が大きく異なります。
東日本では武家の風習を積極的に取り入れており、西日本では公家の風習を取り入れていることによって、違いがあるといわれているのもポイントです。
例をあげると、西日本で多く飾られる場合、男雛が左側、女雛が右側となります。
対して東日本の場合は女雛が左側、男雛が右側となっています。
現在でも女児が生まれた時に初節句のプレゼントに雛人形を贈る家庭は多く、主に祖父母がプレゼントすることが多いです。
特に母親の実家から贈ることが多いといわれています。

母親の実家から贈ることが現在では一般的

江戸時代に嫁入り道具の一つとなっていた歴史があるため、母親の実家から贈ることが現在では一般的です。
なお、当時上流階級の娘が嫁ぐときには雛人形とともに婚礼調度品のミニチュアを作って婚家へ届けていた風習もあったため、その流れを汲んでいるという説もあります。
昭和期・平成初期までは祖父母が選んで贈ることが一般的でしたが、平成の後半から令和になってからは夫婦が選んで祖父母に送ってもらう形が主流です。
人気の高い物とされているのは、ケースに入っている物だといいます。
ケースに入っている物の場合、ケースに入ったまま出し入れすることができるため、効率よく片付けができていいといわれているからです。
住宅事情の都合上、七段飾りのような豪華な飾りを置くスペースがないという家庭も増えてきました。

家のスペースがある場合、三段飾りを用意する家庭も多い

そのため、できる限りコンパクトで出し入れしやすいものを用意する形が増えてきています。
二段程度でガラスなどのケースに入っている物を購入する家庭が少なくありません。
また、親王飾りと呼ばれる、男雛・女雛が対になっているシンプルなものを求める家庭も多いです。
家のスペースがある場合、三段飾りを用意する家庭も多いといいます。
七段よりも省スペースですが、飾りつけとしては豪華ですし、さらに見た目や価格のバランスも良いといわれているからです。
スペースや予算に問題なく伝統的な七段飾りを用意する場合には、子供が小さなころから一緒に飾りつけ・片づける習慣を身に着けさせることで片付けが楽になるため、率先して子供に身につけさせましょう。
大きさにもこだわることで、飾るときにスペースに困らずに済みます。
集合住宅などスペースが限定されている場合、小さめの物、50センチメートルほどの大きさなら、ドアを通すことも可能です。

まとめ

ドアの大きさを考えて購入しないと中に入れられないこともあるため、ドアの大きさを考えて購入しましょう。
なお、一戸建ての場合庭や窓から入れることも可能であるため、そこまで大きさにこだわる必要はありません。